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情動による想像による創造 ―――― Emotion ⇒ Imagination ⇒ Creation = three-ion ――――
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「本当に君は、・・・」


裕正のためいきにはもう慣れてしまったので、

その事にいちいち気を落としたりはしない。

何度言われようと間違いを犯したのは裕正の方で、

決して私ではないのだ。

だから本当にためいきをつきたいのは私。



・・・というやりとりはもう飽きるほどしたので、その台詞も言わない。







裕正が自分のパートナーに選んだ初めの人があたしで、

その次に選んだのが心ちゃん。


ただそれだけのことなら何もいけないことなんてなかったのだろうが、

生憎私と裕正は簡単に消せない約束を「紙」に誓ってしまった。

左手の薬指で光る銀色が錆びて光らなくなるまでは

そばにいるつもりだったのだけれど、

どうやらそう思っていたのは私だけだったらしい。

裕正にとって私はもう“過去”なのであって、

今を共に生きるのは過去の女ではなく「心ちゃん」なのだ。




「君とはもう終わったんだよ」

「まだ終わりじゃないわ。私はあなたを愛してる」

「でも僕は愛してない」


言い合いの回数が増えるにつれて、私はよく“愛”という言葉を持ち出すようになった。

だけど所詮そんなものは酷く曖昧で不安定で、

誰かと誰かの間にしか存在しないようなものだ。

裕正が私を「愛してない」と言うならそれは成立しない。


私は分かっていた。ずっと前からそんなことは。

それでも「愛してない」の中にだってちゃんと“愛”は入ってるじゃないかと、

強引でマトモの欠片もないような言い訳で自分を落ち着かせるしかなかった。


でなければ、私はこの勝負に負けてしまう。



「私と心ちゃんのどこが違うって言うの」

「違うとか違わないとか、そういうことじゃないんだ。君は分かってないよ、・・・何も」

「分からないわよ。あなたはいつだって何も言ってくれない」

「言ったって君は聞かなかっただろう」

「・・・またそうやって私のせいに」

「そんなことは言ってないだろう。僕はただ、」


受話器の向こうから聞こえたただいまー、という声に、

裕正は言葉を切って語調を早めた。


「もう遅いから、続きは今度だ。じゃあ、・・・風邪引くなよ」



有無を言わさず通話を切ってしまった裕正にまた怒りが込み上げてきた。

さりげなく渡された気遣いすら私には温かく届かない。

一人で過ごす寒い夜にどれだけ泣きそうになるのか、

毎日誰かと温もりを共有する裕正には分かるはずもないのだ。








これでも、悪いのは私の方なのだろうか。
























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