【 1 】

そのことに気付いたのは、ついこの間だった。


朝目が覚めてリビングに降りたら父も母もいなくて、

冷たくなった食べかけの朝ご飯が放ったらかしてあった。


「何なん」

不審に思いながらも、学校に遅れる訳にはいかず

台所にあった菓子パンを適当につかんで、

ローファーをつっかけて家を出た。



教室についた瞬間、また異変に気が付いた。

あたしが入っていったのに誰も振り向きやしない。


「おはよう」

入口付近にいた女の子に声をかけてみる。

「・・・・・・」

返事も返ってこない。


自分の席を見たときにすべてを悟った。



ターゲット。



机の上に置かれた白い菊のささった花瓶、

有り触れた、古臭い、だけどそれは確かに

あたしを地獄へ突き落すゲームの始まりの合図だった。








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