情動による想像による創造
―――― Emotion ⇒ Imagination ⇒ Creation = three-ion ――――
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「茅子せんぱーい」 「? あぁ、三原さん」 休憩室でぼーっとしていると、後輩の三原さんに声をかけられた。 私の仕事は、ある会社の受付係だ。 「コーヒーどうぞ」 「あ、ごめん、ありがと」 紙コップを受け取る。 彼女は私の向かいの席に座った。 「何か今日の先輩元気ないなぁ」 「・・・そうかな」 「そうですよ! もっと笑わないとっ。 ほら、スマイルスマイル!!」 そう言いながら、彼女は自分の口の両端を人差し指で軽く持ち上げた。 「笑うと元気が出ます」 「そうね」 「誰かを元気にすることもできます」 「・・・うん」 「茅子先輩、元気になりました?」 「え?」 「あたし、今ちゃんと笑ったでしょ」 三原さんはコーヒーを一口飲んだ。 「何があったかとか分かりませんけど、笑ってみたらいいと思います。 ・・・あたし、茅子先輩の笑顔が素敵だったから、 この仕事に就いたんですよ」 「え、」 「どんな人にも変わらず笑顔で対応して、先輩は毎日誰かを元気づけてる。 ・・・あたしも、そんな大人の女性になりたいな、って」 「・・・・・・、・・・」 「だから、茅子先輩が悲しそうなのは嫌だな」 休憩時間終了のチャイムが鳴った。 彼女は残っていたコーヒーを飲みほしてから立ち上がった。 「じゃ、あたし先に行ってますね」 「えぇ」 「それじゃ、」 「あ、三原さんっ」 歩き始めていた彼女は立ち止って振り返った。 「ありがとう」 「っふふ。どういたしまして」 彼女は綺麗な笑顔を残して去っていった。 「・・・はぁ」 一人残ったテーブルで、三原さんがくれたコーヒーを飲んだ。 後輩にまで気を遣わせてしまうなんて、 私はそんなに思いつめた顔をしていたのだろうか。 「仕事に持ち込んじゃうなんて、」 そんなことじゃいけない。 「戻らないと」 立ち上がって、コーヒーの紙コップをゴミ箱に捨てた。 「あ、茅子先輩」 「ん?」 受付に戻ると、三原さんが手招きで私を呼んだ。 「先輩にお客様ですよ」 「私に?」 三原さんが示した先にいた女性は、私に小さく礼をして言った。 「初めまして、・・・川原心です」 <NEXT> PR |
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